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ときどき映画館日記

おためし中

シネ・マレーシア

ひとつずつ記事を書く時間がなさそうなので、まとめます。
参考: マレーシアの区分地図
    シネ・マレーシアのサイト

まとめた感想を端的にいうなら、

  • どれもそれぞれにおもしろかった。
  • 自然の光景を映した映像はどれもよかった。(みんな簡単に海や川に入っちゃうんだなー、服着たまま。とも思った)
  • 多言語環境が興味深い。

といったところ。
今回の映画祭、基本、「スケジュール的に見られるものを優先」をしたとはいえ、私の場合、香港映画経由でここまでたどりついているわけなので、今回も、中華系っぽい人のものを選びがちだったが、最後にみた『Bunohan』がマレー語映画で、そしてそれがとてもおもしろかった。
なので、収穫といえば、

  • マレー語映画に第一歩

がひとつ。
そしてもう一つは、見たうち2本に主演していた

  • サニー・パン兄貴との出会い!

出会いってもちろんスクリーン上でですが。サニー、気に入った〜。俳優お目当てができると、励みになります。
個々の感想は、以下のとおり。

5月14日『水辺の物語』

スランゴール州が舞台。スランゴール州の真ん中にクアラルンプールのあるクアラルンプール州が小さくある、という位置関係。
映画の中は、都会ではなく、海と川(だと思うのだが)がひろがり緑濃い田舎の村。
主人公の青年は蛙売り(食用)、彼が好きな女性は水産工場で働く。みんなとてもよく働くのだった。もちろん食べていけないからだけど。主人公はもっと大きな水産工場を経営する男に見込まれ(というか釣られ)、自分のところで働き娘と結婚しないか、的誘いをうけるが、その「工場付き娘」も、自ら、引き潮のとき(だと思うが)に海(またはすごく広い河口)に胸まで浸かって貝をざるで掬って集めているのだ。
青年の話および彼の父の恋の話もある。青年父子と、父の恋人、青年が好きな女性リリイは広東語。でも相手によって華語に変えたりする。そういった多言語環境と共に、社会の多層な部分を感じさせ、ドラマ部分もおもしろいが、彼らのいるマレーシアの環境も、たんなる背景画像でなく一体となっているようにみえ、「マレーシアそのもの」のひとかけらをそのまま見ている感じがする、というか、マレーシアってどんなところかな、と思えばこれを見てもらえば、て、自分自身まだ何も知らないのですが、そういう気がした。
普通に川や森を映すだけでなく、つぶされて食べたものが胃からとびだしてる蛇の死体(だと思うんだけど)、とか、もっとなんでもないもの、何がというのではないけれど主人公たちの目にはうつっているような、「その辺の一角」のカットが入るのもおもしろかった。もちろん、マレーシアにもこれ以外の場所があるのはわかっているけど、かなり濃い「擬似体感」をできた気がする。
父とその恋人の思い出の品がつまった箱の中には、映画の半券がいっぱいはいっていた。都会で映画を見たのはきらきらした思い出なのね。

5月25日『Girl in the Water』

短編。自分の赤ん坊を船でなくしたのかな、と思える女性の物語。広東語話す雇い主のところで働いていて、雇い主がなんのまじないなのか、女性の爪をのんだりしていたのが、いやー・・て感じだった。主人公の女性はタイ人、だったかな?そのタイ人彼女が、自分の赤ん坊をとったのでは、と疑る華人女性は、『水辺の物語』でリリイの働く工場の人と同じ?単に体型が同じだけ?

5月25日『誰にでも言い分はある』

短編。前にも作品をみたことのある唯一の監督、ホー・ユーハンの作品。インドネシアで「マレーシア粉砕!」運動をしている極右過激派?のリーダーを取材したドキュメンタリー。マレーシアの政治的歴史をアニメで紹介されたが、いますでに、スカルノスハルトの違いをもう忘れました。
過激派リーダー、歯がめちゃめちゃなのが野戦戦士っぽい(←そうか?)が、この映像の中では、なかなか愛嬌のある人でした。題名からして、彼に反対の立場の人とか中間の立場の人とかも出てくるかと思ったけどそうではなかった。

5月26日『黒夜行路』

記念すべきサニーとの出会い!の映画。監督は、なんとなく名前をきいたことのあるジェイムズ・リーだが作品を見たのはこれが初めて。というくらいに何も知らずに見たのがよかったようです。

ヤクザな仕事で豊かに暮らしているいとこ、スン(ピート・テオ)を頼ってクアラルンプールにやってきたオーキァ(サニー・パン)。最初はただスンにくっついているだけだが、そのうち、スンの仕事を委譲される。つまり自分もヤクザになるってこと。がんばって仕事し、成功するが、一方、スンは落ちぶれていく。スンのことを心配するオーキァだが、「いつまでもスンに忠実でいるのも考えものではないか?」と、大親分に言われる。

前半のどこかで少し記憶がとんだが、それというのも、固定したカメラ(ビデオ撮り)、時に適切でない照明(ピート・テオ曰く)、ほとんど音楽が使われない、といった映像のため。なんだけど、後半、いかにもヤクザなある仕事をスンがするのに立ち会って以降、くらいの、ところ、オーキァがだんだんいい感じになってきて、最終的に、彼がりっぱだったのでおもしろかった。
端的にいえば、「ヤクザもつらいよ」物語といおうか。上映後のQ&Aでピート・テオが言っていたが、ヤクザの人々の日常というのは実は退屈な時間が多いとのこと。その感じはよくでていた。というか、あの撮影のしかた(カメラ固定、その前で役者が動く)だと退屈感満載。
なおかつ、当然のことながら強いものだけが生き残る世界であり、後半のスンの落ちぶれっぷりといったらなかった。

ツイッターで見かけたこの映画の感想で、「×野×」みたいというのがあって、そういえばそうかもとはおもった。ヤクザの話、淡淡とすすみつつもなにげにヤクザらしいコワイことはさっと行われている、ところは似ているとは思う。でも、あのビデオカメラ固定っぷりが凄いので、前半それに耐えると後半より感動できる、というのが肝ではないかと・・いわゆる「かっこいい絵面」はない。だけど、サニー・パンはあとでしみじみ、かっこよかったなあ。と思える。

ちなみに、固定カメラなのは、予算がないからだそうです。ピート・テオの出演料はビール6缶くらい、とのこと。

5月28日『The Collectors

『黒夜行路』を先にみて続いてこれを見られたのは幸運だった。ジェイムズ・リー監督が『黒夜行路』の3年後に撮った商業映画。楽しかった。
サニー・パン演じる借金回収やくざの物語で、妹がいて妹には上の学校へ行かせてやったりしているの含めて、ウラ、いや、オモテ『黒夜行路』だった。サニー・パン兄貴はスタント出身とのこと。カンフー場面もたのしいし(若干、アクション場面の取り入れ方の間がいまいちだったりしたけどまあご愛嬌な範囲で)、すでにサニーに惚れている状態で見ているので一挙手一投足、惚れ惚れ。『丹下左膳餘話 百萬兩の壺』に通じるのは子どもネタだけでなく、ヤクザ者の話ではあるがほのぼのとぼけている(これはわざとなだけでなく、スベってるの込みではあるが)、という雰囲気も似ていたと思う。市場で太った人がぎゅーんとやってくるのとかは香港映画風味?オネエなヤクザの名前がドニーとか。とにかく、サニー兄貴がかっこよくてとっても気に入りました。

5月30日『イスタンブールに来ちゃったの』

大阪アジアン映画祭で見られなかったのでやっと見ました。これまた楽しい、可愛い映画。好きな彼を追って、彼の留学先のイスタンブールに来ちゃったマレーシアの女の子。アタシが行けば彼はきっとプロポーズするわ!というつもりで行ったのだが、反応の鈍い彼。さらに思いがけない事情でゲイのルームメイトと暮らす羽目になり・・というラブコメ。最後はどう収まるかの予測はつくタイプの話だけど、主人公の子がめっちゃ可愛く(ファッションも。あのでっかい髪飾りとか)、ヨーロッパとアジアの融合を感じさせる(ほんとうに)イスタンブールの光景とあいまって、ほんとに楽しめました。イスタンブール、っていうのはかなり肝かも。これはぜひ一般公開してほしい作品です。

5月31日『Bunohan』

これと『イスタンブール』がマレー語主の映画だったな。しかし『イスタンブール』と違って、マレーシアの土地にどっぷり浸かった作品だった。
bunohanとはひとごろし、のことなのかな。でも地名でもあるようなんだけど。主人公は、ひとごろしを職業にしている長男、クアラルンプール帰りのスマートフォン持ってる次男、キックボクサーの三男(ムエタイの試合をやっているのはタイのようだから、舞台はタイ国境近くクランタン)。影絵師?の父。話の筋としては、次男が土地を売ろうとしている、というポイントがあるのだが、それプラス、父と別れた母の話もからみ、なかなか話を説明するのがむずかしい。知らない背景がいろいろあるからだろうけど、しかし、わからなくても引っ張る力のある作品。長男はマレーの地から生えている人、次男はその根を都会で切ってきた人、三男は迷いのある人。母はマレーの人だけど自由な人。・・かしら。この作品をしめくくりにできてよかった。

以上、長編はどれもよかった。『影のない世界』も見たかったけどスケジュール合わず。シネ・マレーシアのスタッフの人は、今後の特集上映も考えているようなことを言っていたので、ぜひ、実現してほしいものです。