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ときどき映画館日記

おためし中

『幕末太陽伝』

日本映画 日活 映画館 小林旭

日活100周年記念デジタル修復版スタンダードサイズモノクロにて。
ことしの初映画館映画だったので、やっぱり書いておこう。

フィルムセンター(確か)で大昔見たきり、ン10年ぶり二回目。
前はわかってなかったことがたくさんあったし、こんどの方がずっと楽しめた。
長生きはするものです。

幕末で、これからどうなるかわからない世の中で、わからないなりに、みんなそれぞれに元気いっぱい、というか、自分流に勝手に生きている。
勤王攘夷の若者だって、「君子豹変す!」ですよ。て、それは久坂玄瑞こと小林旭のセリフです。
そういうみんなに比べ、とっても目はしのきいちゃう居残り左平次は、さらにのびのびと…しているはずなのだけど、先が見えるのが幸せともかぎらない。
彼には、病気という爆弾も実はある。
裕次郎に病気について指摘されるところは、そう言う高杉晋作も実は若死にで、さらには裕次郎自身長生きとは言えなかったことをつい連想してしまい不覚にも(だって、裕次郎のあの小学生みたいなセリフまわしをきいて、だから)ナミダ。
川島監督のことを最初に知ったのが、新聞かなんかに出ていた文章で、才能あったが、病気で苦しんだことが強調されていて、その印象が強いので、そういうおセンチな反応になったんだ、ということにしておこう、

今回いちばん気にいったところは、芦川いづみのエピソード。彼女が演じる大工の娘お久と、相模屋の放蕩息子がかけおちするのは、彼女の発案だったんですね。この発想も前向きかつ現実的ですばらしいです。チャンスはつかめ、頭は使え。左平次の上をいく目はしのきき方でナイス。そんな形であっても、ちゃんと仮祝言あげられるよう左平次が準備し、高杉晋作裕次郎もひきうける。このシーン、好きです。

南田洋子左幸子のおふたりについては、昔見たときもなんてきれいで上手いんだろ、と思ったし、今回もそう思った。
小林旭は、月代ありの髪型だったけど、個人的に、最近は浪人頭よりちゃんと月代剃ったアタマの方が基本的には良いと思うので、まあ良し。でもどなり方も下手だしまだまだ青い。
裕次郎については、お徳な役もやってるし、主役とかじゃなくてこのくらいの出番ならアクセントでいいのではないだろうか。

今回注目したもうひとりの人は、最後の最後に出てくる押し出しの強いおじさん。市村俊幸
左平次も負けそうだった。ああいう人って不動だからなあ。幕末だろうがなんだろうが。
あと菅井きんが、前も思ったけど今とまるで同じ。
岡田真澄はあんなにハンサムなのに出ているのを忘れていた。

幕末といえば、私には『大菩薩峠』の印象がすごく強い。(小説の)
明治維新をはさんで江戸時代と明治時代を生きた人々が何考えてたのかは興味深いが、それこそ千差万別でこの映画や『大菩薩峠』のような描き方しかできないんだろうな。
おおぜいの人間がでてくるだけでなく、この映画には犬コロちゃんがいっぱい走ってる場面なんかもあって(ねずみもホンモノ・・ですよね?ちとこわい)、がやがや感が身上、かと思いきや、最後は、左平次ひとりの場面で終わるんだな、と。
ちょっとだけ寂しさを感じたんですけど、私だけでしょうか。

今年は日活作品を見ることに力を入れようと思っております。
いっぱい見られますように。

(ヒューマントラストシネマ有楽町にて)

                                    1. +

監督・脚本 川島雄三
1957年日活
デジタル修復版公式サイトhttp://www.nikkatsu.com/bakumatsu/